在宅介護も3年目を迎えました。

老老介護、認認介護が増加する中、介護する側の監督責任はどこまで問えるか

      2016/06/24

介護する側も高齢者という大変さ

老老介護状態にある私どもにとって、要介護の父が寝たきりであるというのは、不幸でもあり、あるいは幸いな部分という部分もあるのかもしれません。

これでもし父がまだ足腰が元気で、しかも認知症を発症していたらどうでしょうか。私も60を過ぎて若い頃のような体力も気力もありません。目を離した隙に外に飛び出して徘徊を始める・・・という可能性は、若い人が介護する場合よりもずっと高くなってしまうと思います。

2007年に認知症の男性が電車にはねられて死亡したのですが、その介護者への監督責任を問う裁判の判決が今年の3月に最高裁で下されました。鉄道会社が、「きちんと監督していないからこんな事故が起こった。おかげでひどい損失が出た」ということで家族に賠償責任を問う裁判を起こしていたのです。

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しかしこれは老老介護をしている人には酷な話ではあります。自分自身の体だってガタが来ているのに、いくら面倒を見ているからといって24時間監視・監督できるものではありません。自分の体を休める時間も必要ですし、買い物に行ったりもしないといけません。それで徘徊を100%食い止めるというのは難しいですよ。

認知症高齢者のサポートは社会全体で負担すべきもの

最高裁での判決の内容は・・・

同居する家族とは言え直ちに監督義務が発生するわけではない、とした上で、監督義務を負うかどうかは、介護者の実態等を総合的に判断すべき、との見解を出しました。よってこの裁判では、賠償責任は問えないとの判決が出たわけです。

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鉄道会社には申し訳ないですけど、この判決は介護をしている人間にとってはホッとできるものではあります。もし賠償しろとの判決だったら、日本中で認知症の介護をしている人のストレスが一斉に高くなったでしょう。

ただこの鉄道事故の裁判の場合、介護する側も要介護1の認定を受けていた人で、そのことも大きかったようです。もし介護する側が若くて元気な人だったら、また内容は変わっていたかもしれません。

老老介護が増える中、認知症の高齢者を同じく高齢者が見守らないといけないという世帯は今後ますます増えていきます。しかも介護する側もまた認知症であるという「認認介護」という世帯も増加しているのです。認知症の高齢者の監督責任をその家族だけに押し付けるのは、どう考えても限界があります。

やはり地域社会の側で協力するということが重要になるでしょう。「認知症サポーター」等の取り組みも現状では行われていますが、これだけでは全く不足で、認知症高齢者を支える地域の体制を行政がもっと強化していっても良いでしょう。

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中には「なんで縁もゆかりもない、見ず知らずの認知症高齢者のことを気に掛けないといけないんだ」と考える若い人もいるかもしれません。

でもそう言う人自身が将来認知症になるかもしれないですし、そう言う人の身内で認知症になる人がでる可能性もあるわけです。認知症高齢者を見守り、サポートする体制を社会の中でしっかり作っておけば、自分や自分の身内が認知症になったときに大いに助かることになりますよ。これは60過ぎたお爺さんの、若い人たちへの期待であり助言です。

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